2021年03月17日
コロナ禍において・・・①雨宮処凛さん共著の新刊発刊、②403号発売
コロナ禍において、我々の生活は一変しています。




よく非常時には、①平時の矛盾や問題点が拡大増幅して現れる、②既に起きていた変化がより加速する、と言われます。
何が起きていた(いる)のか、社会はどのように対応したのか、また対応しなかったのか、しっかりと理解しておきたいですね。
そのことを解き明かすためにお勧めの本があります。

それは、論創社刊『定点観測 新型コロナウィルスと私たちの社会』という本です。17名の論者が、1年半かけて新型コロナウィルスを定点観測しています。医療、貧困、労働、教育、経済、社会など様々な角度での分析と報告は貴重な記録です。その中で、雨宮処凛さんが”貧困”をテーマの論者として登場しています。
2020年前半版が、昨年9月25日に発刊されています。
内容(「BOOK」データベースより)
2020年1月には、すでに世界で認知されていた新型コロナウイルス。しかし、東京オリンピックの開催にこだわり、中国・習近平国家主席の訪日を実現するため、日本政府による防疫の初動は遅れに遅れた。そして、突然の休校要請。繰り返される安倍晋三首相の「持ちこたえている」という空虚な声。緊急事態宣言の発令。給付金をめぐる政策の不備…。2020年1月から6月までのあいだ、この日本で何が起きていたのか。本企画では、第一弾が2020年1月~5月末、第二弾が6月~11月末、第三弾が12月~2021年5月末を対象に、同じ論者が一年半をかけて新型コロナウイルスを定点観測する。
〇主な論者
・雨宮処凛「コロナ禍の貧困の現場から見えてきたもの」・斎藤環「医療に何が起こったか」・斎藤美奈子「パンデミック文学のパンデミックに寄せて」・武田砂鉄「アベノマスク論」・前川喜平「全国一斉休校という人災」・松尾匡「コロナ下で進む日本経済の転換」・望月衣塑子「コロナ禍とメディア」・森達也「禍福は糾える縄のごとし」 他

雨宮さんは、相談対応などを通じた報告を実例と共に紹介しています。
・これまで貧困に無縁だった人々からの相談が増えている(あらゆる業種、フリーランス、住宅ローンを抱えている人・・・)。
・この国には天災や経済危機が起きるたびに生活が根こそぎ破壊される人たちが一定数存在している。・・・・・・・・・・・
3月12日に『定点観測 新型コロナウィルスと私たちの社会』2020年後半が発刊されました。
この第2弾では、2020年の後半の状況が定点観測として報告されています。
内容(「BOOK」データベースより)
2020年の後半、コロナ禍の影響が表出してきた。倒産する企業が急増し、解雇や雇止めで失業する人が続出。まともな救済策を打ち出すこともなく、政府は不備だらけのGo Toキャンペーンを開始した。一方、世界を見れば、アメリカでは大統領選挙の直前にトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、ヨーロッパでは10月に第二波とも言える感染爆発が発生するなど、混迷が深まる。こうした状況でありながら、日本政府はGo Toキャンペーンを展開し、JOCはオリンピックを開催すると言い続けている。2020年1月に認知された新型コロナウイルスは、この一年で、私たちの社会にどんな影響を及ぼしたのか。最強の論者たちによる定点観測の記録で解き明かす。
〇主な論者
・雨宮処凛「続・コロナ禍の貧困の現場から見えてきたもの」・斎藤環「第三波の襲来とワクチンへの期待」・斎藤美奈子「停滞する言論、活気づく右派論壇」・武田砂鉄「続・アベノマスク論」・前川喜平「子どもの受難は続く」・松尾匡「ここまで来たコロナショックドクトリン」・宮台真司「コロナ禍は社会の性能を示す」・森達也「私たちはずるずると泥道を滑り落ちている」 他

雨宮さんは、第1弾と同様に、実際の相談対応などを通じた報告を実例と共に紹介しています。
・生活保護申請が増加する中で、役所による冷たい対応がされているという話を聞く。「扶養照会」が壁となるケースも。
・外国人も深刻な困窮の中にいる。外国人の場合、永住・定住権がなければなかなか生活保護の対象にならない。
・11月以降女性からの相談が増えて全体の3割ほどを占める。大半が20代。
・10月の自殺者が全国で2153人。コロナ死者数を上回る。女性自殺者の増加が顕著で前年同月比で82.6%増。
・所得が少ない人ほど収入が減っているという残念なデータが出ている。
・・・・・・・・・・・・・・他
雨宮さんは、ビッグイシュー403号で「雨宮処凛の活動日誌」の追跡記事として、『追跡!コロナ禍の貧困 失業が理由のホームレス化すすむ。これまでにない深刻な女性の貧困化』というレポートも掲載しています。
路上に出る女性が増え続けるという前代未聞の状況を伝えています。しっかり認識して行動したいですね。

雨宮処凛さんには、2月に予定していました「静岡県ボランティア研究集会」において、その本のテーマと同じ題材で講演をお願いしています。研究集会は延期となりましたが、開催時には、よりコロナ禍における様々な経過や動向を捉えた講演をしてもらえるものと思います。

【403号の記事紹介】
スペシャルインタビュー : ロックバンド「フー・ファイターズ」のデイヴ・グロール
1990年代初頭の伝説的ロックバンド「ニルヴァーナ」。当時ドラマーとして存在感をみせたデイヴ・グロールは、解散後に結成した「フー・ファイターズ」で11回のグラミー賞を受賞、ロック界で不動の地位を築いています。少年時代は枕を使ってドラムの練習をしていたというデイヴ・グロールが、若き日の自分を語っています。

特集 : 思い込みと偏りー認知バイアス
脳が無意識に働くことによって起こる「認知バイアス(心の働きにある偏り)」の大きな影響を解き明かしています。
この影響とは、見落とし・記憶違い・決めつけの原因となっており、たとえば「次に出現する感染症のパンデミックは新型のインフルエンザだろう」という各国政府や専門家の思い込みのせいで、当初、新型コロナウイルスへの対応が遅れたことも指摘されています。この背景にあるのが「集団浅慮(グループシンク )」と呼ばれる認知バイアス。
そんな不可思議な「認知バイアス」について、認知科学者の鈴木宏昭さん、社会心理学者の北村英哉さんに話を聞いています。
コロナ禍においては、人の意識や気持ちが注目されています。自己責任論や被害者バッシング、偏見や差別もこの「認知バイアス」に関係している?!。「今の判断は本当に正しいのか?」創造力を発揮するコツをつかみたいですね。鈴木さんは語っています。「常識的なものの捉え方は、日常生活においては効率的な判断になるが、何かを創造したり発想を転換する際には制約になる。その制約を取り払ってくれるのが多様性。多様な思考は解決に至りやすい。色々な可能性にチャレンジすることが大切」と。



ビッグイシューは、フェアトレードショップの「Teebom」(静岡市葵区駿府町1-50)、
「晴天」(浜松市東区有玉南町2350-4)で毎号販売しています。バックナンバーも注文できます。
2021年03月02日
東日本大震災から10年①402号特集「ふくしま、10年という時間」、②映画『風の電話』上映会
東日本大震災からまもなく10年。震災を忘れずに、被災地に寄り添い続けるために何が行動できるか、考える時にしたいですね。









ビッグイシュー402号の特集 「ふくしま、10年という時間」
2011年の福島第一原発事故から10年。いま、福島はどのような状況にあるのでしょうか。そして福島にかかわる人々は、どのような思いでこの10年を生きてきたのか、福島在住のジャーナリストのレポートです。
・「わたしら団塊の世代がいなくなったら、村はどうなるのか」多田宏さん
・「福島は、はじまったばかり。これまでとこれからの福島」赤坂憲雄さん
赤坂さんは語ります。「これだけは言っておきたい。福島は始まったばかり。まだ何も解決していないし、何が起こったか、これから何が起ころうとしているかといったこともわからない。もっと、冷静に10年、20年、30年先までもしっかり見つめ続けていくべき」

「原子力災害考証館を開設。事故が地域にもたらしたことを伝えたい」里見喜生さん
・「市民科学者になって地区の再生をめざす」大越キヨ子さんと志田名の10年
大越さんは語ります。「この10年、心苦しいい10年だった。家族がみんな一緒にいられたらいいのにと思っていた。ここは隣人たちが助け合って生きてきた。昔のように集落が仲よくなってほしい」
・「2011年の冬が来る前に除染を終えなければならなかった」木村真三さん
・「追い出される矛盾を訴える原発事故避難者」熊本美彌子さん

テーマにある”ふくしまの10年”を見つめる特集になっています。改めて被災地に寄り添う必要性を感じます。
映画『風の電話』上映会のお知らせ
読者会の活動に協力いただいている「静岡県ボランティア協会」では、TOMOSHIBIプロジェクトの一環として映画『風の電話』の上映会を静岡市・浜松市・下田市・沼津市で開催します。コロナ禍において改めて人と人とのつながりを考えるいい機会であると思います。お近くの会場へ是非足を運んでみませんか。参加申し込み受付中です!!
申し込みは、県ボランティア協会のHPから ⇒ こちら
知人友人にもお知らせください。

ビッグイシューでは、376号(2020.2.1発売)にて、諏訪敦彦監督のインタビューを掲載しています。
諏訪監督は語ります。「映画とは観客がつくるもの。同じ作品を観てもその人の体験や感情の幅で見えてくるものが異なる。それでも観終わった後、この作品が何かしらの支えになればとてもうれしい」と。


【402号の記事紹介】
スペシャルインタビュー : ナオミ・ワッツ
デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』や米国版「ザ・リング」シリーズなどで知られ、オスカーに2度ノミネートされた俳優ナオミ・ワッツ。今作『ペンギンが教えてくれたこと』では小鳥と共演し、動物・家族とともに大きな喪失感を乗り越える女性を演じています。

雨宮処凛の活動日誌 「コロナ禍で急速に広がる女性の貧困」
炊き出し会場に並ぶ女性の増加、解雇や雇止めによる非正規労働者の減少、女性の自殺の急増など、コロナ禍による女性の実態をレポートしています。
何が起きているのか、しっかり認識して行動する必要性を感じます。
雨宮さんなど女性支援者たちで3月13日、14日に「女性による女性のための相談会」の開催が発表されています。⇒こちら
